ビオトープ 水生植物の用土

植物の種類で使い分ける用土と肥料

水生植物も水底の土から栄養を得ているのは、一般的な植物と同じです。水はけと栄養を考慮してセレクトしましょう。

田土か赤玉土を基本用土に

園芸店でもまだまだメインではない水生植物。用土も水生植物用として販売されていることは少ないようです。水生植物とはいえ、根から栄養などを摂取するのは普通の植物と同じ。用土選びは栽培の成否を決める重要なポイントです。ネット通販や大型のガーデニングショップになると『水生植物用』として専用の用土が用意されていることがありますが、まだまだそういうショップは少ないです。しかし、園芸ショップで一般的に販売されている用土をブレンドして、水生植物に適した用土を作ることかできます。基本となるのは荒木田土と川砂、そして肥料。荒木田土は庭土にも近い土ですが、水を含むと粘り気が出てくるのが特徴。水を加えて繰り込み、塊を潰して粘土状にします。荒木田土が手に入らない場合、もっと一般的な赤玉土でもOKです。この荒木田土に細かめの粒の川砂を混ぜます。これは水通りをよくするため。植物が植えやすくなるなどの効果もあります。肥料は油かすや魚粉、化成肥料などを利用。施肥量は一般的な草花より少なめに。これらをよく混ぜ込めばビオトープ用土のでき上がり。混ぜ込む肥料は春の植え替え時などには長く効くタイプの元肥と、植物が生長した時に追加すべき追肥の二通りがあります。元肥は緩効性のもの。追肥は比較的即効性のものを加えると良いでしょう。

荒木田土
田んぼの土などに近いタイプの粘土質の用土。ビオトープではこの土が基本。水田の下層土や河川の堆積土。
川砂
水通りがよくなる川の砂。荒木田土だけだと水通りが悪い場合に全体の1割程度混ぜるとよいでしょう。
赤玉土
園芸で一番よく使われているのがこの赤玉土。有機物を含まない赤土を乾燥させたもの。大きさにも種類あり。
ソイル系サンド
多孔質の軽石をべースに植物の生育に必要な栄養素を配合したもの。熱帯魚飼育の水草で底床として使う。

肥料の種類

油かす
水生植物の元肥や追肥に使われる有機肥料。有機物を微生物が分解し、それを植物が吸収するので長期間有効。
化学肥料
チッ素、リン酸、カリなど、栽培に必要な栄養素がバランスよく含まれます。臭いも少なく衛生的で室内で便利。

容器へ土をセットする

ミニ・ビオトープの容器として使うタフプネやひょうたん池などの底に土(水生植物用の土など)を敷き、水を注ぐ時の手順や注意点を説明してゆきます。まず、容器を設置場所に置きます。なお、ミニ・ビオトープの容器は、庭の地面に埋めてもかまいませんが、その場合は排水がしにくくなることに注意してください(地面に埋めた場合でも、「お風呂ポンプ」があると楽に排水ができます)。容器を置いたら、土を容器の底に均一な厚さになるように敷き詰めます。この時、底の部分に油かすを適量、混ぜ込んでおくとよいでしょう。この油かすは、植物(抽水性の水草など)を植える予定の場所に、特に重点的に混ぜ込んでおきましょう。底に敷く土の厚さは、3~6cmにします。土が厚く敷いてあった方が植物を植えやすいのですが、薄くても成長して植物が根を張り巡らせば、安定するようになります。また、底に敷く土は、あまり厚く敷き過ぎると、最下層の部分で有機物の腐敗が生じて、メタンガスなどが発生しやすくなります。ただし、ミニ・パピルスのように極端に草丈が高くなり、風で倒れやすい植物を植える予定の場合は、その部分を特に厚くしてもよいでしょう。ただし、もし、それでも風で倒れてしまうような場合は、水中の根元付近をレンガ・ブロックなどで補強し、倒れないようにします。「水生植物用の土」として売られている土は、粒子が非常に細かい粘土質のものが主流で、部分的に乾いて塊になってしまっている場合があります。その場合は、ピンセットなどで突き刺して小さい塊に崩してから放いてください。また、この土は、砂利と違い底にざっと敷いてならしただけでは平らにできませんから、極端に薄く敷かれている部分かないかよくチェックし、できるだけ容器の底に均一の厚さになるように敷き詰めるようにしてください。ミニビオトープの容器に土を敷き終わったら、各桂の植物を植え、水を注水します。このとき、ジョウロ方式やシャワー方式で放水できる散水器具を使うと、土が掘り返されずにすみます。ただし、粒子が非常に細かい「水生植物用の土」は、注水するとたちまち濁ってしまいます。そのため、水がきれいに澄むまで、しばらくシャワー方式での注水を続けます。もし、水道料金を節約したいのなら、濁った水を一旦排水し、土の上に平らな皿を置いて再び静かに注水します。なお、このミニ・ビオトープにメダカなどの魚を放すのは、水質が安定する、約1~2週間後にしましょう。

Q 底に砂利や土などを必ず敷いた方がよいでしょうか?

A 本来は自然の川や池で暮らしていたメダカを、スイレン鉢やタフブネなどの自然ではない環境の中で飼うわけですから、底には土などを敷き、できるだけ自然の環境に近づけてあげたほうがよいでしよう。飼育容器の底に土などを敷かなくてもさほど問題なく飼うことはできますが、敷いた方が落ち着くのか、本来の体色が引き出せるようです。ただし、プロ・ブリーダーのように効率のよい飼育を行ないたければ、底には砂利などを一切敷かない方が、水底に溜まったゴミや糞などを素早く排出できるのでよいでしょう。なお、この二通りの方法の折衷案として、飼育容器の底に砂利などを一切敷かず、その代わりに抽水性植物などを植えた植木鉢を入れる方法もあります。


Q 姫スイレンを育てています。肥料として油かすを土の中に埋めて与えていますが。どのくらいのベースで追肥を行なえばよいのでしょうか?今のところ、葉や花芽はコンスタントによく出てきて、きれいな花を咲かせてくれています。

A 葉や花芽が順調に出てくる間は、追肥の必要は基本的にありません。肥料が足りているのに追肥を行なうと、その株が肥料過多で調子を落としたり、水中が過度の富栄養状態となり、アオミドロが発生しやすくなってしまいます。なお、追肥のタイミングですが、明らかに葉や花芽の出る間隔が開いてきたら、行なえばよいでしょう(同時に増えすぎた浮き葉も古いものから適度に間引いてください)。ただし、水温が低下する秋には、スイレンの活動が低下し、その結果、葉や花芽があまり出なくなってきますから、追肥を行なうにしても、少な目にしましょう。

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