海水魚 海水魚の混泳の組み合わせ

混泳は海水魚飼育の最大の楽しみともいえる。さまざまな色・形の魚が泳ぎ回る水槽には、ビギナーなら誰でもあこがれるところだろう。反面、飼育する上で最も難しいのが混泳だともいえる。魚同士の相性をはじめ、考慮するポイントが多いからだ。混泳する際に、まず考えておきたいのが魚同士の組み合せ。同じ種類同士で争う魚もいれば、問題ない魚種の組み合せもある。たとえばクマノミの仲間と底生ハゼを混泳させてもケンカすることは少ないが、スズメダイのいる水槽に小型ハゼなどを入れるといじめられるケースが多い。魚種が多いだけに、うまくいくパターン、やってはいけない組み合せも多い。海水魚ショップのスタッフに相談したり、専門書で情報を集めるなどして、自分が混泳させてみたい魚について調べていき、慌てずゆっくりと覚えていくようにしよう。魚同士の組み合せ以外に、入れる順番や個体の大きさも重要。たとえば水槽で猛威を振るうスズメダイがいるとしよう。小さなハゼを追加すれば、ハゼが一方的に突かれる可能性が高いが、スズメダイよりも体が大きいハギなどは入れても問題はない。基本的に、先に水槽にいたほうの魚が、水槽内にテリトリーをもつので強気だが、自分よりも明らかに体が大きな相手にはケンカを挑まないのが通常だ。こうしたさまざまな要素を考慮して混泳させていく。本来ならうまくいかないパターンでも、結果的に争いが起きず混泳が成功するケースや、逆にうまくいくはずなのに、個体差(個体ごとの性格の遠い)によりうまくいかないという場合も出てくる。こういった点が混泳の難しさであり、また楽しさでもあるのだ。少しずつ、でも確実に混泳についての知識を身につけて、いずれは色とりどりの魚が泳ぐ、見事なアクアリウムを実現したいものだ。

同種で争う魚種は?

海水魚 ケンカ

ハナダイの仲間は淡いピンクやオレンジがかった体色が美しく、複数匹を水槽に入れると群泳している様子を見せてくれる。その様は花びらを散らしたように可憐で、見る者の目を釘付けにせずにはいられない。ハナダイの仲間は自然界でも群れをつくって生活しており、水槽飼育下でも単独飼育より複数で飼った方が良いようだが、オス同士はメスを巡ってはげしく争う。たとえば遊泳性ハゼの一種、アケボノバゼ。基本的にはおとなしく、攻撃されることはあっても、自分から争いを仕掛けることはほとんどない魚だ。しかし同種同士ではケンカすることが多く、ペアにするのが難しい種類ともいえる。また似た形のハタタテハゼとの組み合せもNG。アケボノバゼが、 よりおとなしいハタタテハゼを攻撃する可能性が高い。人気が高い小型ヤッコや中型・大型ヤッコも、互いに争うケースが多い。ほかに二セズメの仲間も同種間で争うことがあるので注意が必要な魚種だ。海水魚ショップで、よく群れで泳いでいるスズメダイの仲間も、実は同種間で争うことが多い魚種。ショップのように極端に多くの同種が泳いでいると、自分の縄張りを意識できないので数多く一緒に飼育することができるが、水槽内に移してテリトリーをはっきりと認識すればスズメダイ同士で激しく争うので、注意したいところだ。単体でのテリトリー意識が強いほど、他種はもちろん同種とも争うという傾向があるのだ。ちなみにベラの仲間は、オス同士では争うが、メス同士で争うことはほとんどないようだ。同種同士でうまくいくのは、テンジクダィ、ハナハゼ、パープルクイーンやタイガークイーンなど。自然界では群れで生活しているタイプでも水槽内では争うことが多く、水槽内で同種の群れで飼育できる種類はとても少ないといえる。

待ち伏せして…大きな口でパクリ

美しい南洋の海水魚たちも、大自然の弱肉強食の掟の中で生きている。したがって、水槽に導入する生物の中にも時として『食べる、食べられる』の関係が成立することがある。せっかく買ってきた生体が、食べられてしまったりしないようにするために、どの魚が何を食べるのかはよく認識しておきたい。まず、一番明白なのは魚食魚と呼ばれるカテゴリーの魚たち。魚食魚とは、耳慣れない言葉かもしれないが、文字通り魚を食べる魚のこと。観賞魚ではイザリウオやオコゼ、カサゴの仲間などが、海水魚ショップでも見かけるポ ピュラーな魚食魚の一種だ。魚食魚がエサにするのは、自分の口に入る大きさのエビや魚。もし、これらの魚を飼うのなら、まずエサになるような魚と混泳させないことが肝心。基本的には単独飼育がおすすめだ。他の魚と混泳させる場合は、体の大きさが同じくらいか、魚食魚よりも大型の魚を選ぶのがポイントとなる。魚を食べる魚を飼育するということには、最初は驚くかもしれないが、魚食魚は厄介者扱いされず、キャリアを問わずアクアリストの人気を集めている。理由はそのユニークな姿にあるといえるだろう。岩のようにゴツゴツした見た目をもつ種類が多く、ゴツかわいい姿が、アクアリストの気持ちをつかんで離さないのだ。その他に注意しなければならないのは、ベラ系の魚が小型のエビを食べてしまうことや、大型のハナダイが小型のハゼを食べてしまう可能性があることなど。水槽の中で粒状のエサを食べている彼らも、自然界では何らかの生物を食べる連鎖の中にある。ほとんどのチョウチョウウオや、ヤッコの一部が、サンゴを食べることも知っておきたい。また、クマノミと飼いたいイソギンチャクも、クマノミ以外の魚を捕らえて食べてしまうことがあることは理解しておきたい。

60cm水槽での海水魚の組み合わせ例

カラフルな魚をメインにする場合の組み合わせ例

トゲチョウチョウウオ×1
デバスズメ×15
ツユベラ×1
ナンヨウハギ×1

カクレクマノミとイソギンチャクをメインにする場合の組み合わせ例

カクレクマノミ×5
シライトイソギンチャク×1
キイロバギ×1
マンジュウ
イシモチ×10

ソフトコーラルとかわいい小型魚をメインにする場合の組み合わせ例

ソフトコーラル各種×8
ハタダテハゼ×5
二セモチノウオ×1
ロイヤルグラマ×1
パープル・クイーン×5

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