アクアテラリウム サンプル

コケリウム

コケリウム

コンセプト
自然ではあまり目立たないコケの美しさに着目し、アクアテラリウムの主役として構成した作品である。コケは、普段は見過ごしやすいちっぽけな植物だが、良く観察すると、とても美しい色彩や姿を持っているものが多いことに気づくはず。

セッティング

普通サイズの60cm水槽と大きめの軽石を複数用意する。軽石の大きさは、水槽に入れた時に水槽の上面から頭が飛び出てしまわない大きさのものがよい。もし大きすぎるようなら、古くなって要らなくなったノコギリなどで適当な大きさになるようにカットしてから使用する。軽石は熔岩が固まってできた石の一種だが、内部にスポンジのように細かい空洞が連続的に無数にあり、ノコギリなどで簡単にカットしたり、ドライバーなどで自由に穴を開けることができ、加工は容易である。水槽と軽石を用意したら、まず水槽にフィルター(底面フィルターか外部式パワーフィルターがよい)をセットし、底床の上に大小の軽石をセットする。軽石は、水槽の正面から何度も確認しながら一番全体がかっこよく見えるようにセットしたい。軽石のセットを確認したら水槽に水を張り、フィルターを作動させる。次に軽石の上に、あらかじめ採集しておいたコケを取りつけてゆく。用意するコケは、自宅の周辺から採集してもよいし、大きな園芸店などで探せば、盆栽用に見栄えのするコケが各種売られているのでそれらを入手して使用しても面白いだろう。また、山間部などへ行き、各種のコケを採集してきてもよい。山に自生しているコケの種類はとても多いので、きっと気に入るコケが見つかるだろう。コケを採集する際は、コケだけを取ろうとすると全体が崩れてしまうので、群生したコケの塊の底を活着している土ごと大型のカッターナイフなどでスライスするように切り取り、持ち帰るとよい。このコケの塊を土ごと軽石の窪みにはめ込むように取りつけ、活着させるわけである。 このコケリウムでは、水を浅く張った水槽に大きめの軽石を設置し、その軽石にコケを付着させて育てていたりする。したがって、コケは軽石内部の毛細砕現象で運ばれる水と水槽から立ちのぼる水蒸気によって湿度が高められた環境で育てられている。そのため、絶えず全身が水に濡れているような環境を好むコケ(渓流の水辺などによく生えているタイプのコケ)の育成には向いていない。このコケリウムに向いているコケは、絶えず全身が水に濡れている訳ではないが、日陰の湿った環境に好んで生えているようなタイプのコケである。一般にコケはこのタイプが多いので入手は容易である。

メンテナンス

軽石の毛細管現象によって水面より運ばれる水はそれほど高い所までは運ばれないので、コケの状態を見ながら定期的に霧吹きで水を与える。コケの肥料としては、観葉植物用の液肥を水で2000倍程度に薄めて1カ月に一度、与えればよい。

小さな滝のあるアクアテラリウム

アクアテラリウム 滝

コンセプト
アクアテラリウムの陸地部分には、草の水上葉や観葉植物を植えるのが一般的である。だが、陸地部分に植物だけを植えただけでは、静的すぎてやや面白みがかけるものである。特に水中部分で活発に泳ぎ回る魚を飼育しているアクアテラリウムでは、陸地部分の静的な印象が特に強くなる。そのため、多くのアクアテラリウムは、水面より下の空間(水中)は動的な印象となり、逆に水面より上の空間(陸地部分)は静的な印象といった、対照的な空間構成となることが普通である。アクアテラリウムの陸地部分に何か動きを与えたれけば、カエルなどの小型の生き物を収容することが考えられる。作製したアクアテラリウムに適した生き物を選べば、そのアクアテラリウムはずっと魅力的な空間になることは間違いないだろう。だが、アクアテラリウムに適した小型のカエルなどは、絶えず動き回っているわけではなく、むしろ静的な印象が強い。したがって、アクアテラリウムにカエルなどの小さな生物を入れても、そのアクアテラリウムの陸地部分の静的な印象がガラリとかわるほどの効果は期待できない。では、アクアテラリウムの陸地部分に動的な印象を作り出すにはどうしたらいいのだろうか。この問題の解決方法として最適であり、アクアテラリウムで好んで作られる方法が、陸地部分の一部に〝滝″を作ることである。アクアテラリウムの陸地部分の比較的高い位置まで人為的に水を導き、ある程度の落差で水を放出して人口的な滝を作るのである。陸地部分に作られた〝滝″による水の流れは、静的な印象に支配されているアクアテラリウムの陸地部分に力強い動的な印象を作り出してくれるのである。

セッティング

アクアテラリウム 陸地

アクアテラリウムの陸地部分に滝を作るには、電気で作動する水中モーターの力が必要となる。したがって、陸地部分に滝のようなものを作るなら、そのアクアテラリウムには水中モーターで動くフィルターを採用しなければならない。滝を設けるアクアテラリウムのフィルターとしては、モーターの力の強い外部式パワーフィルターが最も適している。だが、写真のアクアテラリウムのように小型水槽に小さな滝を設けるだけなら、水中モーターで作動する底面式フィルター(ニッソーのアクアパルなど)が、水槽内にすっきりと収まるのでむしろ適している。写真のアクアテラリウムのセッティングは、まず水槽に水中モーターで作動する底面式フィルターをセットする。次ぎに、砂利を4~5cmの厚さに敷き詰める。砂利を敷いたら、直径が1~5cmほどの小石を底面フィルターの立ち上がりパイプを大きく取り囲むように石垣状に積み上げ、アクアテラリウムの陸地部分を作製する。底面フィルターの立ち上がりパイプは、滝の水の出口として利用するので、あらかじめプラスチック・アクリル用のカッターで適当な長さにカットしておく。石垣の内側に砂利を詰めて陸地部分ができあがったら、滝の部分の製作である。滝の部分の作製で注意したいのは、いかに水をきれいに落下させたり、いかに流れをきれいに見せるかである。写真のアクアテラリウムでは、底面フィルターの立ち上がりパイプの周りに縦長のやや大きな石を挟むようにして設置し、大きな石の問から見えるパイプは、大小の小石をシリコン系の接着剤で接着して積み上げることで巧みに隠し、全体としては崖のような雰囲気を作り出している。滝まわりの製作が終わったら、最後に陸地部分に適度にミニ観葉を植える。このような小型のアクアリウムの陸地部分に植える植物は、アジアンタムのように葉の細かいものが通している。葉の細かい植物を植えることで、小さな空間に作られた滝の周りがずっと自然な印象に高めることができるからである。

メンテナンス

滝のあるアクアテラリウムをメンテナンスする上で最大の問題点は、滝から水が落下する際に生ずる水滴によって、水槽のガラス面の内側が特に汚れやすくなることである。滝から飛び散った水滴が絶えずガラス面に付着し、乾燥することで、水に含まれる汚れがガラス面に強固に付着するのである。これを防止するには、滝の構造を水が飛び散ってもガラス面に付着しないように工夫(植物や石などで水の落下箇所を遮蔽するなど)するとよい。この汚れは放置すればするほど取り除きにくくなるので、過に一度ほどは濡れたタオルで汚れをよくふき取り、すぐに乾いたタオルで水分をふき取るとよい。

小型のカメが遊ぶアクアテラリウム

小型のカメが遊ぶアクアテラリウム

コンセプト
愛らしい小型のカメを収容できるように作られたシンプルな構成のアクアテラリウムである。一般にカメの仲間は、陸地部分に植物を多く植えたアクアテラリウムでは、あまり飼育をお勧めできない生物である。カメの仲間は、たとえ小型の個体でも、力が強く植物を痛める種類が多く、また、観葉植物や水草などを好んで食べてしまう種類もいるからである。だが、これらのポイントに注意を払い、飼育するカメの種類をよく吟味して選べば、カメを飼育できるアクアテラリウムを作製することは可能である。

セッティング

水槽に砂利を敷き詰め、大きめの流木を横たえて設置する。また、拳よりも一回り大きな石をいくつか積み上げる。これらの流木と石の表面に、山間部の水辺などで採取してきたコケ(水が絶えず滴っているような場所に好んで生育しているタイプのコケ)を載せる。これらのコケを載せた流木や石の裏側に、外部式パワーフィルターの排水側のホースにつないで分水させた十数本のシリコン・チューブを目立たないように設置し、各チューブの先端から出てくる水が、コケを絶えず濡らす状態にする。この状態でコケを育てていると、自然状態と同じようにしっかりと流木や石に活着し、カメに踏まれても取れてしまわないようになる。コケとチューブの設置が終わったら、最後に水槽の後方に、土を根から完全に洗い落とした観葉植物(根が絶えず水に浸った状態でもよく育つ種類を選ぶ)を水槽の底床に直接植え込んでゆく。水中部分の底床には、カメの活動空間を確保するために、あえてなにも植えないでおく。

メンテナンス

カメはとても早く水を汚すので、ろ過能力の大きなフィルターを使用している場合でも、1週間に一度、全水量の1/2~2/3程度の水換えは実行したい。

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