金魚 繁殖の楽しみ

金魚の産卵

金魚 繁殖

金魚の産卵季節は春から初夏にかけてですが、南から北に向かって気候に準じていきます。西の方は3月下旬から4月、5月の内に産卵し、東は4月中旬から5月、6月におおよそ産卵を終わります。各種親魚は3才~5才位のものを選び、産卵の1ケ月前より雌雄を分けて栄養を取らせます。一緒にしておきますと準備のできないうちに急に産卵することがありますので必ず分けておきます。

そして暖かい日を選び雄と雌を一緒にします。雄の特徴は胸鰭の先に細い自いつぶ(追いぼし)がはっきり見え、体は大体しまっています。雌は腹が大きく柔らかにふくれ一目で分かります。容器は硝子水槽でもポリ舟でもかまいませんが大きさは60cm四方、探さは30cm四方位、もちろんこれ以上大きくてもかまいません。あらかじめ2日位前にお産の準備をしておきます。水温は18℃~20℃位とし、金魚藻またはナイロン等で出来ている人工魚巣を一隅に配置します。卵が飛散するので下にも必ず藻を並べます。金魚は雄が多いとよく受精しますから雌1匹に対して雄2匹の割合が良いでしょう。金魚の産卵は雄が雌を追いかけて、雌が放卵すると同時に雄が精液をかけて受精し、これをもって終了します。産卵が4月下旬か5月上旬であれば雄と雌を一緒にさせる時間は昼頃が適当で、翌朝から午前中には産卵を終了します。産卵を確認しましたら、その日の内に親を他の場所に移し魚巣には卵だけを中や残します。天候が順調であれば7~8日間位で孵化します。

金魚 稚魚

産卵が5月下旬であれば6~7日間位、6月にはいれば4~5日間位で孵化します。孵化したばかりの仔魚はすぐには腰が立たず藻又は淵や底に泳いでは止まりといった状態を繰り返していますが、1日半か2日位で正しく泳ぐようになり可愛らしさも増してきます。こうして腰が立ち、正しく泳ぐようになりましたらゆで玉子の黄身をガーゼで包み、もみほぐしてから水面に静かに振り落とします。これを食べた魚は魚体が半透明ですから腹が黄ばんで見えます。玉子の黄身は仔魚に与え過ぎないように注意し、その給餌は1回で良いでしょう。この頃に魚巣を取り上げますが、その際魚巣は静かに水から離すようにし、また魚巣の中に仔魚が潜んでいることがありますので仔魚のいないことを確認するように心がけましょう。次の餌としてミジンコを与えます。ミジンコも一度にたくさん入れてしまいますと、残ったり死んだりして急速に水質を悪化させますので少量与えるように注意します。

最近ではミジンコがなかなか手に入りにくくなっていますのでプラインシェリンプ等を代用としたらよいでしょう。その場合もミジンコと同じく、数回に分けて少量与えることが効果的です。また必ず仔魚の餌付きを具合を観てその結果で量を調整するべきでしょう。

孵化して5日から7日位経ちましたら、差し水をします。その方法としてはナイロンの角網の中から静かに水を3分の1汲み出します。そして同量の新しい水を差してあげます。その際、差し水は水道水を直接使用するのではなく水温の同じ汲み置いてあった水を使用します。(差し水は2回位しても良いです。)第1回目の水換えは、孵化後12~13日位経って行います。別の容器に新しい水(前述のように汲み置いた水)を7分目位入れ、前の容器の水をやはり7分目位減らしておいて残った水と一緒に仔魚を移します。孵化後3週間~4週間位経過してから魚の選別をし、2つ尾等の形の悪い魚は除きます。又、稚魚の数が多いと育ちが悪いので分散させます。1㎡あたり200尾~300尾の割合で放魚し、成長の度合いにより水槽の大きさを調整します。当才金魚の黒色は梅雨の半ば頃か、6月中旬から7月にかけて色が赤くついてきます(出目金、東錦、朱文錦等透明鱗性のものは、色は原色のまま)。丹精こめて育てた魚が色づき日が経つにしたがって良魚に育っていけば、見る楽しみも一段と増してゆきます。秋の品評会が近づく頃には全て均整がとれ、旨味のあるほれぼれとする魚に育ちあがります。なかなか苦労のいることですが、この域に達すれば金魚づくりの名人と言えるでしょう。

pagetop