カメカメの飼育スタイル

種類に合わせた環境作り

カメを飼うための環境作りは、「その種類が水棲なのか、陸棲なのか」というポイントからスタートします。水棲ガメの中でも陸場が必要なもの、必要ないものに分かれ、さらに水場と陸場の割合や水深の深さなど、種類によってケージの環境づくりに細かいポイントがあるのです。陸棲ガメについても乾燥した環境がよいもの、小さな水場やある程度の湿度が必要なものなどに分かれます。こうした環境作りがうまくできないと、カメは体調を崩すことに。まずは、あなたのカメの種類と生息地を知ることです。

3つの飼育スタイル

飼育スタイルは、アクアテラリウム、アクアリウム、テラリウムの3通りに大別できます。アクアテラリウムは、ミシシッピアカミミガメやクサガメ、マレーハコガメなど多くの半水棲種や陸棲種の飼育パターンで、水場と陸地の両方を設置したスタイル。アクアリウムは、スッポンモドキやスッポン、マタマタ、ワニガメなど水棲種の飼育スタイル。ほとんどが水場で、陸上部分は設置しないのが基本です。しかし、スッポンなど甲羅干しをする種類の水棲ガメを飼育するときは、甲羅干しができるようなフロートを浮かべたり、流木やレンガなどで小さな陸上部分を作ることもあります。テラリウムは、ヘルマンリクガメ、ビルマホシガメなど完全陸棲種の飼育に用いられます。水浴びができる程度の水入れを入れることはありますが、陸地がメインの飼育スタイルです。

飼育スタイル1・・・半水棲ガメ

アクアテラリウム
アクアテラリウム

水場と陸地の両方を設置
アクアテラリウムとは、陸地だけのテラリウムに水場を設けたもので、半水棲種や陸棲種の一部の飼育に適したレイアウト。水場の広さはカメの種類によって様々。ドロガメやヘビクビガメ、マゲクビガメの仲間のように、水中での活動が得意な種類では水場を広く、また、ノコへリマルガメ、マレーハコガメなどのように陸上での活動が得意な種では、陸上部分を大きめにとります。

飼育スタイル2・・・水棲ガメ

アクアリウム
アクアリウム

水場がメインの飼育環境
アクアリウムは、熱帯魚の飼育などに用いられている飼育バターン。水中を主な生活場所としているワニガメ、マタマタ、スッポンの仲間、スッポンモドキなどの飼育に用いられています。アクアリウムの飼育設備は熱帯魚用のもので流用可能なのでコストが安くなる場合も。カメの種類や大きさによって、水槽の大きさと、水深の調整が必要です。マクマタやワニガメの幼体は、首を伸ばして鼻先が水面に届くくらいの浅い水深にします。また、スッポンモドキの場合は、泳ぎやすいように水深を深めにしましょう。基本的に陸上部分は必要ありませんが、スッポンの仲間は陸に上がって甲羅干しをするため、レンガを積み上げて陸地を作ったり、発泡スチロールなどで浮き島を作るとよいでしょう。

飼育スタイル3・・・陸棲&完全陸棲ガメ

テラリウム
テラリウム

陸地がメインの飼育環境
テラリウムとは、もともと陸上で生活する生物をガラス容器など、自然とは隔離された空間で飼育することをさします。日本では、古くから観葉植物や多肉植物などの園芸でテラリウムを使うのが一般的でした。しかし、ハ虫類の飼育が人気になるにともない、テラリウムをハ虫類の飼育で使用することが多くなったのです。カメの飼育では、主に陸上を生活の場としている完全陸棲種や陸棲種の一部で、この飼育スタイルが使われています。完全陸棲種の中でも、乾燥を好む種と多湿を好む種では飼育環境が異なります。そのため、乾燥を好む種を飼育するテラリウムと、多湿を好む種のテラリウムでは、使用する床材や管理の方法を変える必要があります。

乾燥&多湿対策

エアコン

日本は、夏は高温多湿となり、冬は空気が乾燥するという気候。しかし、カメによっては多湿や乾燥が負担になることがあります。種類によって適温に調整をしましょう。

湿度の調節には、エアコンや除湿器で部屋全体をコントロールするのが基本的な方法。ほかに、簡易除湿器や風なども利用できます。飼育ケージ内はライトやヒーターをつけているため、そのままでは乾燥しがち。乾燥を好むカメなら、ケージの上部を開放することで乾燥を保つことができます。ただし、梅雨や夏の高湿度の時期には、湿度チェックをして、必要に応じて除湿しましょう。湿度の高い環境を好むカメには、水場を置いたり、定期的に床材に水分を補給するなどして、意識的に水気を補う必要があります。湿度を保ちやすい床材を使うことも大切です。

ケージに湿度計をつけて毎日こまめにチェック

カメの種類によって適した湿度はさまざま。乾燥を好む種類なら約30~50%、多湿を好むなら約60~80%の湿度を保つのが理想です。湿度管理のためには、ケージの中に湿度計を設置し、毎日チェックすることが大切。温度計と湿度計が一緒になっているタイプは、温度&湿度チェックが同時にできるので便利です。

カメは単独飼育が基本

基本的に、カメの仲間は複数で飼育するとストレスを感じたり、ケンカをする場合もあるため、単独飼育が基本です。また、カメは1匹でもさびしくありません。繁殖を考える場合や、比較的ケンカをすることが少ない子ガメのうちは、複数で飼育するケースもあります。ただし、同じ飼育容器で飼うのは、必ず同じ種類同士にすること。なぜなら、カメの飼育環境は、たとえ同じグループでも微妙に異なる場合が多いためです。異なる種類を一緒に飼育すると、環境が合わないことによって体調を崩すこともあるので注意が必要です。

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