カメQ&A 飼育環境編

.お店のカメは1つのケースにたくさん入っていますが、家でも同じ水槽でたくさんカメを飼えますか?

.複数のカメをいっしょに飼うと、強いカメと弱いカメができて、強いカメが弱いカメを攻撃したり、エサをうばったりすることがあリます。弱いカメの尾や爪が欠損したりする場合もあります。どうしても、2匹以上いっしょに飼いたいのであれば、個別に飼育容器を用意するが、広い飼育容器で飼うようにしましょう。水生ガメでは、1匹よリ2匹、2匹よリ3匹と数がふえるごとに水のよごれもそれだけ激しくなります。お店のように1日中手間がかけられないでしょうから、あまり多くの匹数をいっしょに飼わないほうが管理はラクになります。しかし、陸生ガメの場合は、1匹で飼っているとエサの食べ方が少ないものが、ライバルを入れるとたくさん食べるようになる場合もあります。

.太陽光にあてることができないのですが、太陽光のかわリをする蛍光灯があると聞きましたが、本当?

.カメにとって甲羅干しをすることはとても重要です。それは、太陽にふくまれる紫外線が、骨や甲羅を作るのに重要な役割を果たしているからです。紫外線はエサにふくまれるビタミンD3を活性化させ、これがカルシウムを骨に変えてくれるのです。カルシウム、ビタミンD3、紫外線の3つが不足すると、甲羅が変形したり、骨に異常がみられるようになります。ですから、必ず日光浴させてあげてください。1日5分でも0分でもちがいがでてきます。どうしても太陽光にあてることができないのであれば、ペットショップなどで、太陽光に近い蛍光灯(トルーライトやUVBを発するもの)を購入するしかないのですが、これらの蛍光灯であれば、太陽光のかわりを少しだけしてくれます。

.水槽はガラス製とアクリル製が市販されていますが、カメに向いているのは?

.ガラス製は傷がつきにくく、アクリル製は軽いという利点があります。カメは、熱帯魚と違い、爪や甲羅があるので水槽に傷がつきやすいため、ガラス製の水槽がおすすめです。しかし、150cmを超える大きな水槽を使うときは、ガラス製だと重量がかなり重くなるため、アクリル製を選ぶ人が多いようです。

.カメの成長に合わせて、飼育容器を換えたほうがいいですか?

.子ガメは小さいですが、どんどん成長します。はじめは小型の飼育容器で十分ですが、カメが成長してきたら、ゆとりある大きさの飼育容器に交換していきましょう。つねに、カメがゆったりと歩いて運動できるスペースを確保し、広めの飼育環境を用意することが健康に飼育するポイントです。

.半水棲種や水棲種の水は、水道水をそのまま使ってもよいですか?

.アカミミガメやクサガメは比較的丈夫な種なので、水温を調節した水道水をそのまま使ってもかまいません。ただし、水道の水に含まれる塩素の量は一定ではないので、濃度が高いときは小さなミドリガメやゼ二ガメは皮膚を痛めてしまうこともあります。理想からいえば、どんなカメを育てる場合でも、水は1日くみ置きしたものを使うようにします。急いでいるときは熱帯魚用のカルキ中和剤を利用してもいいでしょう。

.リクガメを飼ってみたいのですが、何から始めるのがいいでしょう?

.一般的には、現地にたくさんいることで価格が手ごろなホルスフィールドリクガメ(ロシアガメ)がリクガメの入門種といわれています。しかし、このカメは夏の高温多湿に弱いので、あまりおすすめできません。同じチチュウカイリクガメの仲間のギリシャリウガメ、ヘルマンリクガメのなかでも価格の安いもの(○○ギリシャとついたり、西ヘルマンなどの名前で売られていないもの)が初めてのリクガメ飼育には向いています。また、高温で一年中飼育できるのでしたら、アカアシガメも比較的苦労しないで飼育できます。

.リクガメはお風呂に入れるって聞いたけど、人間といっしょに入るの?

.人間のお風呂にいっしょに入るわけではありません。37℃ぐらいのお湯をクッパなどに入れて、最低1週間に1度、できればもう少し多く入れてあげます。そうすることによって、そのお湯を飲んだりすることで乾燥系リクガメに多い脱水状態から救ったり、便秘を防げます。カメをお風呂に入れると排便をうながし、排便の習慣をつけることもでき、飼育容器をよごさなくすることもできます。

.リクガメが事故もなくすくすく育ったんですけど、近ごろカメどうしがかたい甲羅をぶつけ合っています。だいじょうぶでしょうか?

.きっと上手に飼われたのでしょう。これは、成長したリクガメの多くの種で見られる、オスのケンカの一種です。自分のテリトリーを主張しているので、弱いほうはいつもやられてストレスがたまります。別の容器で飼ってあげましょう。いいメスがいれば、種類によっては子どもがみられるかもしれません。

.ペットショップで見たリクガメの甲羅がコツゴツと盛り上がり、カッコよかったのですが、どうしたらあんなにカッコよくなるのですか?

.かんたんです。野菜や野草をあまりあげないで、レタス、と動物性タンパク質の多い他の小動物のフード(人工飼料)やカルシウムよりリンが多いエサばかりあげて、日光浴もほとんどさせないことです。要するに不健康な飼い方をしていると長い時間にそうなってしまいます。実は悪い育て方をした証明が、あの甲羅一つ一つがコツコツ盛り上がったリクガメなのです。決してカツコイイわけではありません。

.カメが落ち着いてくれるように、ウチでは水槽の下に砂利をしいていますが、ショップでは何も入れてありません。どちらがカメにはいいの?

.小さな容器では砂利をしかないほうが管理がラクになります。それは、砂利の中にエサの食べ残しがいつのまにかたまってしまうからです。そうするとカメのフンと共に菌が繁殖する格好のすみがになって、カメが病気になる原因にもなります。また、砂利があると、掃除も手間どリ、ついついおっくうになってしまいがちです。ですから、容器には砂利をしかないほうが本当はよいのですが、カメにとっては砂利があったほうが落ち着くことはたしかです。世話をよくしてあげられる人は、砂利をしいて人もカメも楽しんだらいいでしょう。

.旅行に行くとき、カメは留守番できますか?

.おとなのカメは1週間くらいエサを食べなくも大丈夫です。しかし、子ガメや草食性のカメ(完全陸棲種)は、毎日エサをあげたほうがよいので、留守中は誰かに世話を頼むようにしましょう。

.他の動物と一緒にカメを飼えますか?

.イヌやネコなどのペットと一緒にカメを飼育している人は少なくありません。しかし、イヌがカメを噛んで甲羅が破損する事故も発生しているため、飼育には注意が必要です。とくに甲羅がまだ硬くなっていない子ガメは要注意。イヌやネコはじゃれて遊んでいるつもりでも、大ケガにつながることもあります。カメを他の動物と飼う場合は、カメがいたずらをされないように、他の動物とは分けて飼うこと。カメの飼育容器にはフタをし、カメを容器から出す場合は、イヌやネコなどのペットが部屋に入らないように注意すること。また、庭にカメを出す場合は、イヌやネコの他に、カラスやワシなどの野鳥にも十分に注意しましょう。逆に、大型のスッボンやワニガメなどを容器から出す場合は、その場所にイヌやネコが入らないようにしましょう。

.飼えなくなったカメを自然の池に逃がしてもいいでしょうか?

.環境の変化がはげしい日本の池や川にはなされるのは、カメにとってとてもめいわくです。事情があり、飼えなくなってしまった場合は、必ず代わりに飼ってくれる人を探しましょう。実際にカメの場合は、アカミミガメ(ミドリガメ)の帰化が問題になっています。もともとアカミミガメは、気候の温暖なアメリカのカリフォルニアにすんでいたカメでした。ミドリガメブームも去り、カメを飼育しきれなかった人が池や川に放したものが、繁殖をくり返し、ふえ続けています。体の大きなアカミミガメが同じような環境に入ってきたため、元来日本に生息していたクサガメや二ホンイシガメが激減するという問題も起きてきています。これは日本だけでなく、ヨーロッパなどでも起きているようです。

pagetop