海水魚 ライブロックとはどんなものか

ライブロックとは、死んだサンゴの骨格やサンゴ岩などが長い間海中にあることによって、海水による侵食やサンゴ岩に穴を開けて生活する生物などにより多孔質になったもの。ライブロックは海中にあるため、その表面にはさまざまな海藻やソフトコーラル、生きたサンゴの子供なども付着している。水槽に入れておくと、いつの問にかこのような生物たちが成長し、意外な喜びを与えてくれる。このようなことからライブロック(生きた岩)という名前がついたと思われがちだが、実はそうではない。ライブロックは、その広い表面積と多孔質という形状のため、複雑なろ過システムによる水質浄化能力がある。そのことから、ライブロックという

ライブロックからはエサも出る

ライブロックに付着してきたさまざまな生物は、水槽の中の汚れを取り入れ、分解すると同時に、砂の中などに生活圏を広げていく。また、そこから発生する微小生物は魚たちのエサになったりもする。新しいライブロックを入れると、エビや魚が寄ってきて、ライブロックを一生懸命つついていたりする。これは、ライブロック表面に付いている新しい生物を食べたりしているのだ。ライブロックが数多く入っていて、小柄な魚しか入っていない水槽では、ライブロックから現れる微小生物も十分エサになるので、給餌周数、量を減らすことができる。そうなると給餌は水を汚すので、控えめにした方がいい。また、ライブロックは海水魚水槽、とりわけサンゴを入れる水槽のレイアウトの土台になる。美しいレイアウトを作るためには、起伏に富んだ、形状のものがあるといい。大きめのものを土台にして全体の地形を作り、複雑な形状の中ぐらいのサイズのもので、サンゴを置きやすい場所を作り、小型のものは他のライブロックの間に挟んで角度を調整するのに使うといい。レイアウトが不安定だとサンゴが倒れたり、魚やエビが下敷きになったり、最悪の場合はライブロックがくずれた衝撃で、ガラス水槽にヒビが入って水漏れを起こしたりすることさえあり得る。安定するように置き方を工夫したい。また、ライブロックには裏表があることも知っておきたい。紫色の石灰藻が生えていたり、海藻などが生えている方は表だ。こちらを下にしてしまうとせっかくのそれらの生物がダメになってしまうかもしれない。上向きに置こう。逆に下側は白っぽくて、生物層が貧困な感じだ。ライブロックが砂に深く埋まると、その下側の砂の酸素が不足して、硫化水素という毒性のある成分が発生することがある。砂への設置面はなるべく少なくするのがポイントだ。

良いライブロックとは

軽く、赤いのがいい? ライブロックがとても役に立つ物体であることは述べた。ところが、この良し悪しを見抜くのはなかなか難しい。良い岩は非常に素晴しい能力を発揮するが、良い岩でも輸送状況が悪いと表面の生体の多くが死に絶えてしまう。表面の生物が死ぬとそれがアミノ酸、アンモニアの発生源となってしまい、ろ過するためにライブロックを入れたにも関わらず、毒性をまき散らす岩をわざわざ入れたことになってしまう。では、どういうライブロックを入れるのがいいのだろう。いいライブロックとは、生物層が豊かでさまざまな微生物が暮しており、それらが死んでいないもの。でも、微生物は見えるわけではない。それをどうやって見分けていけばいいのか?実はこれはかなり難しい。まず、多孔質であることが望ましいわけだから、凸凹が多くて、穴がいっぱい空いていて、軽いものがいいとされている。たしかに、すべすべして重いものはただの岩でしかないような気がする。また、重さで量り売りするところも多いから、そういうライブロックは価格という点においても損だ。また、赤紫色、もしくは紫色の石灰藻という硬質な感じの藻類が密に付着しているものも良い。表面を良く観察すると、カイメンやホヤの類、海藻、小さなケヤリなどが付いていて生物相が豊かに見えるライブロックは良いライブロックだ。とはいえ、そこまで良いものはなかなかない。良し悪しの判断がつかない…という人は、ライブロックの臭いをかいでみよう。いいライブロックは潮の香りがするが、悪いライブロックは硫黄臭というか、クサい感じがする。これは生き物が死んでいる証拠。こういうライブロックは避けたい。最初から、状態の悪いライブロックを入れてしまうと水槽はなかなか立ち上がらない。慎重に選びたい。

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