アクアリウムどんな生き物?

熱帯魚の定義と種類

熱帯魚

熱帯魚とは、熱帯地方に生息する魚類のことです。一般には水温25℃前後で飼育する魚を熱帯魚と呼びます。観賞魚用の熱帯魚として流通しているものは、熱帯地方(赤道周辺)と亜熱帯から温帯に生息するものまでを含んでいます(中には例外的に、亜寒地の中国、韓国、中央アジア、北米の一部に生息するものも入ります)。また、熱帯魚は、川にいる淡水性のものと、海にいる海水性のもの、その中間に棲んでいる汽水性のものと、大きく3つのグループに分けられます。

普通は淡水性、汽水性のものを熱帯魚と呼び、海水性のものは、熱帯性海水魚と呼ぶのが正しいとされています。現在日本には、2千種以上の熱帯魚が輸入されています。さらに、今後もその数は増え続けていくと思われます。これらの熱帯魚は、いろいろなグループに分けられます。それらの中から、自分の好みにあった種類を選んで飼育していくことになります。一番大きなグループは、淡水魚の約半分を占めるナマズです。ナマズも、数センチメートルの小さなものから、数メートルになる巨大ナマズまであり、数メートルになるものは、推魚が輸入されています。ナマズには何十種ものグループがあり、最も多様に変化していて、飼育の方法も色々楽しめます。大きくなるナマズを大型水槽で育てて、アマゾンのジャングルをイメージするのも楽しいし、小さくて可愛いナマズを何十種もコレクションして楽しんだり、さらに繁殖を楽しめるものも多くいます。次に大きなグループであるカラシン科のものは、恐ろしいイメージのある、ピラニアなどから、美しい宝石のような輝きを持つ、小さなテトラ類までいます。テトラ類は、小型の水草レイアウト水槽には、欠かせないものです。アマゾンやアジア、アフリカの水辺の再現を演出する楽しみもあります。熱帯魚を飼育するということは、単に魚を飼育するだけではなく、その後ろにある自然を感じ取ることが大切です。他に数億年前から姿を変えずに生き残ってきた古代魚のグループなども、おもしろい存在ですし、鮮やかな色彩を持つシクリッドもいます。熱帯魚の世界は、とても奥が深くておもしろいものなのです。

熱帯魚のふるさとはどこ?

ネオンテトラ

では、熱帯魚はどこからやってくるのでしょうか。最も多く輸入されてくるのは、南米産(アマゾン流域)のもので、全体の7割を占めています(現在は天然のものは、保護の意味もあって少なくなり、多くは東南アジアで養殖されたものが流通しています)。世界一多くの淡水魚が生息するアマゾン流域では、今でも数々の新種や日本初輸入の魚が発見されていて、最も人気の高い魚類が集まっている地域です。次に多いのは、アフリカです。ここは大地溝帯と呼ばれる、地球の割れ目のような所に、多くの湖があり、海水魚と見間違うような、青や黄色の原色のシクリッド類が多くいます。また、コンゴ川流域からは珍しい古代魚やナマズ類がやってきます。ただし、航空の便が悪く、南米のようにコンスタントには輸入されません。ドイツなどのヨーロッパ経由で輸入されることが多いようです。アフリカの大西洋岸諸国に多くいる古代魚の仲間、ポリプテルスや、肺魚、エレファントノーズの仲間は人気の高い種類です。3番目に多いのは、東南アジア諸国で、主にタイ、インド、ベトナム、マレーシア、インドネシア、シンガポール(各国の中継点にもなる)などです。最近は時々、ミャンマーやカンボジア産のものも輸入されています。大型になるナマズ類やナイフフィシュ、スネークヘッド、ダトニオが人気種であり、小型のラスボラ類、グラミィ類は水草レイアウト水槽にぴったりの魚として多く輸入されています。しかし東南アジアから輸入されているもののうち、最も多いのはアマゾンや他の国が原産の養殖ものです。

現在日本に流通する熱帯魚の半分は、この養殖ものです。グッピー、エンゼル、ディスカス、テトラなど代表的なものは、ほとんどアジアで養殖されています。養殖技術の高さは、最高レベルといってもよいでしょう。自然保護の意味も含め、養殖はこれからも多く行われるべきだと思います。養殖魚の日本への輸出では、香港と台湾も大きな役割を果たしています。中国でも、熱帯魚市場の拡大が著しく、養殖は盛んに行われていて、将来日本へも多く輸出される産業に発展すると思われます。オーストラリアとニューギニア。この2つの地域からも、少しずつ熱帯魚がやってきています。オーストラリアには、スポッテッドバラムンデーというアロワナやレインボーフィッシュという美しい小型魚がいます。ニューギニアにも似た種かいます。どちらも輸出量は少ないけれど、魅力的な魚です。中米(特にメキシコ)からは、古代魚の一種、ガーパイクの仲間や、中米シクリッドの仲間が時々輸入されます。他に、北米の魚(主に養殖のガーパイク)や、亜寒帯の中国の野生種(ケツギョ)や韓国、中央アジアの養殖もののチョウザメ、ヨーロッパのオオナマズやノーザンパイク等が観賞用としてシーズンには輸入されます。こうしてみると、世界中の様々な地域から日本に熱帯魚がやってくることがわかります。

熱帯魚の飼育をはじめるには、やはりそのふるさとを知ることが大切です。どんな所で泳いでいて、どんな習性を持っていて、まわりの風景は、川の水の色は…。そんなことを想像して、夢をふくらませて飼育して欲しいと思います。熱帯魚とは、いながらにして世界を旅することのできるすばらしい趣味なのです。

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