ビオトープミニ・ビオトープを楽しもう!

ミニ・ビオトープとは?

「ビオトープ」とは、生き物(Bio)が生息する場所(Top)という意味の合成語(ドイツ語)です。英語では、バイオトープ(BioTope)と呼びます。「ビオトープ」の本来の意味は、生物が生息している空間、つまり一定の生態系がある空間を指す言葉でした。しかし、わが国ではむしろ、人工的な空間、すなわち、自然が失われている空間に人工的に作り上げた生物の棲息環境(主に水辺環境)を指す言葉として使われています。本HPは、庭や屋上、ベランダなどでスイレン鉢やひょうたん池などの小規模な身近な居住空間に生きものの生息地を創りだし、無理なく野生の生きものと親しみ楽しむ「ミニ・ビオトープ」を手づくりするためのものです。規模の大きな本格的な「ビオトープ」に興味を抱き、実際に作ってみたいと考えている方はとても多いのですが本格的な「ビオトープ」作りは現実的ではなく、ミニビオトープ作りを楽しまれている方が大半なのです。規模の大きな「ビオトープ」は無理でも、ミニビオトープなら誰にでも楽しむことができます。ミニ・ビオトープに使う容器も、比較的安価なスイレン鉢やヒョウタン池、タフブネなどですから、購入しやすく、設置スペースも小さなものを選べば、最小限で実現できるのです。しかも、これらのミニ・ビオトープでは、基本的にベランダや庭などの屋外に設置し、熱帯魚水槽のように加温のために多くの電力を必要としませんから、電気代は殆どかからないです。そのため、維持費はかなり安く、一度セットして安定してしまえば、せいぜいメダカたちに与える乾燥餌代やスイレンたちへの追肥にかかる油かす代程度ですむのです。このように、さほど維持費がかからないミニ・ビオトープですが、これを作った人には、様々な楽しみを長期にわたって与えてくれます。例えば、このミニ・ビオトープにスイレンやハスを植えれば、きっと美しい花を咲かせて楽しませてくれます。また、メダカを何匹か飼えば、やがて繁殖して可愛らしい稚魚たちを見せてくれるのです。そして、このミニ・ビオトープに植えられて茂り、風で時々揺らめく水生植物たちの線の茂みは、見る人に深い癒しを与えてくれるのです。最初は、興味があるものから順にお試しください。はじめは欲張らないほうが無難です。なぜなら、生きものの住みかを育成するための草刈りや剪定などの管理を、場所ごとに微妙に異なる環境条件に合わせて「手加減」することがむずかしいからです。生きものは決してウソをつきません。適した環境ができあがり、ビオトープのネットワークがつながっていると、必ずや、その環境条件に適応した生きものがやってきます。

小さな水鉢で植物を育てる

春から夏に多く出回る水生植物の苗を利用して、水辺の風景を思わせる寄せ植えを作ってみましょう。草丈や葉の形など異なる種類をあわせるのがポイントです。シラサギカヤツリの清楚な白い苞がアクセントになり、シンプルでも飽きない寄せ植えに。後景になるアンぺライから植えつけ、最後にデンジソウが前に伸びるように配置。水をなみなみと注ぎ、日当たりのよい場所で管理します。

スイレンの花を咲かせよう

水辺の植物といえば、スイレンを外すことはできません。園芸植物の女王と呼ばれるバラに匹敵するほどの美しきと豊富な品種を誇ります。まず素焼き鉢に熱帯性スイレンを植えつけ、大きな信楽焼の睡蓮鉢を使い、鉢ごと水に沈めます。まわりを彩るのは、やさしい淡い紫花が魅力のボンテデリアと、斑入りのシマフトイなど。これらはポットのまま水鉢に沈めているだけ。この状態でも長く楽しめます。次々と咲くスイレンを夏の間じっくりと堪能したいものです。

メダカが泳ぐビオトープ

メダカは水辺ビオトープの象徴的な存在。最近ではメダカを飼う目的で水生植物を栽培する人も多いようです。ここでは横長のプランターに、数種の植物を植え、ヒメダカを泳がせました。ポイントはメダカが暮らすスペースの確保。自由に泳ぎ回れるような広さを用意してあげます。水生植物はメダカの隠れ場所になり、夏場の急激な水温上昇を抑える効果も。飼育と観賞の両方を兼ね備えた小さなビオトープを作りましょう。

トンボがやってくる小さな水辺

春から秋に水辺の周辺を飛び回るトンボたち。小さなビオトープでも場所によってトンボを呼び寄せられる可能性があります。ポイントはできるだけ水面を広くとり、上空から水面を発見しやすいレイアウトにすること。水辺の植物は産卵などのためにトンボにとって貴重な場所です。石で陸地と水辺を分け、その境界には杖状の流木を配置。トンボのとまり木やヤゴの登り棒に見立て、トンボが棲む水辺をイメージしました。

Q ミニ・ビオトープに最も似合うメダカは、何でしょうか?

A 基本的には好みの問題ですから、どんな種類のメダカでもよいと思います。ただし、自然度の高いミニ・ビオトープを目指すのであれば、やはり、日本の自然の川や池に棲んでいる野生のメダカ(クロメダカ)がお勧めです。そして、さらに凝るなら、その野生のメダカは観賞魚ショップなどで購入するのではなく、自分で近くの川や池で捕まえてきて飼うのです。また、このミニ・ビオトープに植える植物は、植物の項でよく調べて、ナガバオモダナガパカのような帰化植物ではなく、わが国の在来種だけを選んで植えるとよいでしょう。そうして完成したそのミニ・ビオトープは、周辺の昔からの水辺の自然環境を再現した小さな自然となるのです。自然愛好者としては、人にちょっと自慢できるミニ・ビオトープと言えるのではないでしょうか。

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